名称:MORON CAFE/FILL THE BILL MERCANTILE
所在地:石川県金沢市長町
構造:RC4階建のうち1,2階
占有面積:176.6㎡
用途:1F_飲食店/2F_物品販売店
基本設計・実施設計・工事監理・植栽計画

金沢の観光名所である長町にたたずむ昭和40年代に建築されたクリニック兼住宅のリノベーションの計画をさせていただきました。 前面道路には大野床用水が流れ、多くの観光客が歩く金沢でも有数の気持ちの良い道である。それゆえ、建築協定によりデザインコードが厳しく統制されており、改修工事を行う場合は周辺の街並みに合わせた外観が必須となります。

計画にあたり、開業していた頃のクリニックは長町の住民は皆知っており、町の記憶に刻まれている建物であることが近隣を調査し判明しました。
このことから、ファサードは誘目性を引き立たせることよりも、あえて周辺の和風木造建築建物が続く町並みと違和感のある既存のボテンシャルを保存することで、新たに入居するテナントの存在感を引き立たせることとしました。 既存の青いタイルは当時の建築物の面影を残す部分であり、同じテクスチャーを新設することは現在のデザインコードでは不可能です。 そこで、ガラススキンで覆い、サッシの形を整えることで既存のまま改修することとし、「古ボケた壁」を「新しい壁」にリニューアルしました。

また、内部に残された階段手摺も現建築基準法では適合しない部分ではあるが、転落の危険に十分に配慮して撤去をせずに当時のレトロさを残しています。
この様な立地、規模の建物がリノベーションされて新たな役割を果たすには、近隣住民に賛同を得られやすい形態とすることが必要であり、それらは共存していくことでより良い町並みが形成されると思います。

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