pâtisserie L’aube 花鏡庵_大和香林坊店
名称:pâtisserie L’aube 花鏡庵 大和香林坊店
種別:新装工事
所在地:石川県金沢市(大和香林坊店B1F)
主要用途:物品販売店
施工:ThLive株式会社
photo:髙嶋頌介
本計画は、金沢の観光地の1つである尾張町からのpatisserieの移転計画である。
近隣にあった旧店舗についても、高嶋頌介建築設計事務所での設計・監理を行っており、ブランドの背景や空間の在り方を共有してきた経緯がある。
pâtisserie L’aube 花鏡庵は、ゴ・エ・ミヨにおいてベストパティシェ賞を受賞した平瀬祥子氏が手がけるパティスリーであり、六本木一丁目の restaurant L’aube を主たる拠点として活動している。尾張町の店舗も県内外から多くの来店者が訪れる存在となっていた。
これまで L’aube が展開する複数の店舗設計に携わる中で、「L’aubeらしさ」とは何かを繰り返し議論し、空間として共有してきた。本計画ではそれに加え、町家内にあった旧店舗の装いを継承し、これまでのファンの記憶を大切にしたいという強い要望があった。
一方で、計画地は百貨店内の 7.38㎡(2.2坪)という限られた区画であり、既存ショーケースを再利用するという条件もあった。
レストランとしての L’aube の存在感、町家の空気を纏っていた旧店舗の記憶、そして百貨店という均質な商業空間。その異なる要素を一つの空間に収めることが、本計画に与えられた課題であった。。
平瀬祥子氏が人々を魅了する作品は、その佇まいが美しく、艶やかでありながらも静寂さを纏う。
本計画では、その在り方に呼応する空間を目指した。。
百貨店という華やかな環境の中で、利便性や耐久性を優先した工業的な化粧板を採用するのではなく、一般材であるラワンベニヤを什器の基材にし 「L’aube:始まりや夜明け、誕生」を想起させる濃紺色を重ね、基材の木目を微かに残しつつ表情を調整した。
工業製品や擬似素材ではなく、素朴な木材を用いることで、菓子が持つ繊細さとブランドの価値観に沿った背景を整えた。
また、商品スタンドや POP スタンドについても同様の思想で設計し、過度な演出に頼ることなく、旧店舗に通じる町家的な印象を自然に滲ませている。
菓子が静かに並び、人が自然に立ち止まる。
その風景を丁寧に整えることが、この空間の目的である。

